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日本計量新報 2014年2月16日 (2999号)

国家の大局と計量器の税率変更手続き

 東京都知事選挙は細川護煕元首相の決起による波乱があるかと思われたが週刊誌報道のとおりに桝添要一氏が当選した。舛添氏は自民党と公明党そして連合の支持を受けており、この三者より上回る勢力はこのときの東京都の選挙においてはなかった。4割を少し超えただけの投票率とそのうちの半分ほどの得票で当選した人の支持の度合いと選挙というしくみをどのようにとらえるか、ということでは単純ではない。
 前都知事の猪瀬直樹氏はその前の知事の石原慎太郎氏に「猪瀬君で十分じゃないの」という言葉で説明された人であったが、都知事時代の石原氏の事務組織にのって動き不正なお金の処理をしたことから辞任に追い込まれた。東電病院の徳洲会グループへの売却と連動すると疑われる資金の提供だったために、どのような言葉を用いても言い逃れできなかった。「猪瀬君では十分ではなかった」のである。
 自民党と公明党とが支持する人の都知事選挙での当選によって4月1日に実施される消費税の5%から8%への引き上げは確実になった。国会議員選挙で得票率が5割に満たない状態で圧倒的な議席を得ている自民党と公明党は、足下などみないで議席数がもたらす威力に慢心して、何をするのも恐くない。消費税増税分は全部福祉に回すといっていても国の借金を増やしているのだから、どこかにおかしさがあり、言葉に詭弁性が宿る。財務大臣をした菅直人氏と野田佳彦氏は、財務官僚にすっかり洗脳されて税収の増額には消費税しかないと思わされた。政権に就いた政党、政府機関の役職に就いた議員の考えはいつの間にか役人が考えていることと瓜二つになり、役人の知識を注入される。国会での議論はマスコミ報道の切り抜きを利用するし、政府答弁は役人がつくった文章以上のものではなく、現に安倍晋三首相がそのようになっている。
 消費税値上げがあると料金計算をする計量器のほとんどが、税率変更の手続きを要する。一番新しい電子技術によってつくられた計量器は税率変更はたやすい。少し古いデジタル式の計量器はロムというチップを交換しなければならない。ほかにもいろいろあるかもしれない。冷蔵庫の千円ほどの部品を交換するのに訪問費と技術料で2万円を取られることと同じことが税率値上げによって計量器で発生するのだろうか。不正を防止するための法技術上の細かな規定が移行処理を邪魔することがあり、本筋から外れた規定によって過大な出費を計量器の使用者に課すのは良いことではない。税率引き上げにともなう計量器の料金変更手続きの場面で混乱が起こらないようにすることが、天下国家のためであろう。

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