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日本計量新報 2014年10月5日 (3028号)

日本の企業は人間を育てる学校であり大学だ

ノーベル賞の功を得ようと焦ったために仮説を証明したという装いをした事例があった。仮説はいずれ証明されるかも知れないが、現在では証明されていない。これを証明した者にノーベル賞が与えられると考えて先を急ぎすぎた。科学分野の研究にも激しい競争があり、自然に発生したニュートリノの観測に成功したことにより、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊(こしばまさとし)氏のこの研究においてもそうであった。
 日本のノーベル賞受賞者はその多くが旧帝国大学であった大学で学んでおり、ほかには医学系の国立大学卒業者が2名ほどいる。文学賞と平和賞の3名は東京大学の卒業者である。大学の数が多くはなく、高等教育の分野に進む者が生徒数の5%に届かなかった時代が長く続き、そのような背景の元ではその教育の主たる場であった旧帝国大学で学んだ者が、その後にノーベル賞の対象となるような科学技術の研究分野に従事することが多く、その割合は絶対的であったから、日本のノーベル賞受賞者が旧帝国大学の関係者になる。学会でも会長ほかの役職の状態から推しはかると、この後は国立大学でない分野からノーベル賞受賞者がでると思われる。
 中学校の学力を養っていないままに大学に進み、ここで4年間遊んで職に就くというのが今の時代の「高等教育」の実態である。試験にでる学科の試験に満点を取る能力を備えている人物のその精神状態が小学生並みということは珍しいことではない。物事を正確に言えないのと同じように文章を書くことができない。書いた文章はどこかで見たような内容と発想とある種の概念の域からでない。人が生きるための素養としての「読み、書き、ソロバン」の教育がなされないから、現代の人は字が下手であり、キーボードの「し」の項目に触ると、「死ね」と書いて、世の中に電子メールを送ってしまう。このようなことで議員を辞めた者がいる。
 思考力を支えるのは知識であり教養である。これがなければ頭脳はあれこれの要素を複雑にくみあわせて思考を働かせることができない。うつ病になった人がこれができないのは何故だかは知らない。そのようなことは別にして、面接技術だけを練って企業に採用される者の多くは小学生並みの精神状態か、中学生並みの知力しか備えていないと考えたらいい。企業はこのような者を職場があたかも学校であり、大学であるかのようにして鍛えて、職務を全うする人間に育てていかねばならない。
 かつての松下電器がそうであったように、いまの日本の企業は同じように行動する。大学の教員の側からの見方をすると、企業の多くは、偏差値に基づく学校歴を採用の基準にしていることに苛立ちを感ずるようだ。企業は人を見ないで、学校の序列化をするための偏差値で、人の能力を測っている。

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