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日本計量新報 2016年3月13日 (3095号)

空間が歪んだことによる長さの変化を光波干渉計でとらえる

L字型をした4kmの同一の長さの装置をつくってその長さ比較をする。ここに20桁ほど0を連ねた差が生じると、レーザーを用いた光波干渉装置にモアレ縞が発生するのでそれを感じ取る。

空間の歪みの現象をこの装置が感じ取ったその状態は重力波の検証である。そのように言われていて専門の学者・研究者は米国の重力波観測チームによる観測装置「LIGO(ライゴ)」にその現象が出現したと認めている。これが重力波の直接の観測第1号であり2016211日に発表された。

質量の作用によって空間が歪むことはいくつかの形で確かめられていた。この歪みを直接に観測するために光波干渉計が設置されていて、この装置に重力波が到達して空間の歪みが観測された。日本の観測装置は近く稼働する。欧州ではいくつかの観測装置が動いている。米国のその装置は観測の精度としての感度を上げる改良をして、その装置が空間の歪みによって生じたL字型の腕の長さの差を検知した。

少し乱暴な表現であるが、宇宙の誕生は人の誕生でもある。生命をもち知能をもつ人の誕生は宇宙の誕生なくしてあり得ない。宇宙の誕生は無から有への転換(相転移)であり、時間と空間の発生でもある。その宇宙の観測のためにガリレオ・ガリレイは望遠鏡を用いた。見えたのは恒星と地球の惑星であるが、この惑星がよく見えるようになった。望遠鏡は倍率を上げた。そのあとになって赤外線やX線やマイクロ波による観測がおこなわれるようになった。国立天文台のすばる望遠鏡は可視光から赤外線領域の観測をするしくみだ。

赤外線で見た宇宙は、星々が生まれてくる高温の塵(ちり)の塊(かたまり)でいっぱいだった。X線で見た宇宙は星々の死骸だらけであった。マイクロ波で見た宇宙はビッグバンの高熱の名残に満たされていた。観測に重力波を用いることによって天文学は新たな地平をきりひらく。

星々が生まれてくる高温の塵の塊を最初の赤外線望遠鏡は観測し、そののち分光撮像装置の改良によって別のようすを見るようになった。X線望遠鏡に映ったのは星々の死骸だらけの宇宙であった。マイクロ波で見た宇宙はビッグバンの高熱の名残に満たされていた。「ゆがんだ空間がぐちゃぐちゃにかき混ぜられて刻々と変化していく」のがブラックホールであり、このような現象を米国、欧州、日本の重力波天体望遠鏡による共同観測によって見ることができるかもしれない。重力波による観測によってこれまでは捉えることができなかった宇宙の姿が出現する。

ニュートリノに反応し、ニュートリノに質量があるために振動することをとらえたのが光電面の直径が約50cmの光センサーの光電子増倍管である。これがスーパーカミオカンデには11129本取り付けられている。レーザー利用の巨大にして精密なマイケルソン光波干渉計によって重力波による空間の歪みとしての長さの伸び縮みが観測された。

計測機器と計測方法、そして計測技術と科学や学術とのかかわりをニュートリノ観測、ニュートリノ震動の観測、重力波の観測にみることができる。

 

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