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日本計量新報 2016年3月20日 (3096号) |
高浜原発3号機と4号機の営業運転差し止め決定と今後の電力発電原子力 明るい未来のエネルギー」という街の象徴といえる道路を跨る看板がこのほど取り外された。東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く福島県双葉町でのことだ。「原子力を正しく知ろう」という看板が原発事故直後の街の入り口にあって、これは皮肉をとおり越していた。標語「原子力 明るい未来のエネルギー」をつくった双葉町の当時小学6年生だった茨城県古河市の大沼勇治さん(39歳)は、「原発事故の悲惨さと教訓を後世に伝えるためにも残すべきだ」として賛同者約6900人の署名を集めて撤去反対を申し入れていた。 この手の標語は深く考えてつくるのではない。児童などが表題を与えられて捻り出すのであり、選ぶのは表題を与えた側だ。さまざまな方面の標語や作文の募集の意図はその方面の宣伝をすることが目的であり、その手段としてこのようなことがなされる。教育とか普及啓発という言葉で飾られて募集される標語や作文の募集とその選定の結末が「原子力 明るい未来のエネルギー」の看板の撤去である。住民が避難した商店街の入り口に掲げられた看板にかかれた「原子力を正しく知ろう」という標語は原発事故の発生という形で真実を言い当てている。 2016年3月9日現在において日本で営業運転として稼働していた原子力発電所は九州電力川内1号機(定格出力89万kw)と川内2号機(定格出力89万kw)の2機である。そして関西電力の高浜3号機(定格出力87万kw)だ。再稼働をした要因はここで働く人々の生活の在り方であった。 東日本大震災のときに発生した福島第一原子力発電所の事故のあとで日本の原子力発電所の運転が停止されていた状態が続いていたが、九州電力川内1号機と川内2号機の2機、関西電力の高浜3号機が発電した電気を売る営業運転を開始していた。 関西電力の高浜原発3号機に対して3月9日滋賀県の大津地裁は、運転差し止めを求める滋賀県住民が申し立てた仮処分について、大津地裁(山本善彦裁判長)は差し止めを命じる決定をした。仮処分は即時効力があるため、営業運転中の3号機は3月10日に発電と送電を停止した。営業運転に向けて調整していた高浜原発4号機(定格出力87万kw)にも差し止め命令が出されたので作業を中断した。 高浜原発4号機は2月29日に送電を開始する作業中に異常を知らせる警報が鳴って運転を緊急停止した。送電用の主変圧器の異常であるようだが、この運転トラブルと3号機、4号機への運転停止の仮処分は連動するものだろう。4号機の送電開始のようすは報道関係者に案内をして中央管理室がみえる場所で取材させていた。緊急停止の警報がでたあとにはこの報道関係者を閉め出したとNHKの記者がラジオで伝え、関西電力の情報の開示の閉鎖体質を非難していた。安全の広報になるだろうとの目論見が逆にでた格好だ。 関西電力は決定への不服申し立てをして決定を覆す動きをしている。決定の覆しがなければ、3号機と4号機の2機は法的に運転できない状態にある。運転・稼働中の原子力発電所への運転差し止めの仮処分決定は初めてのことであり、今後の原発の運転に影響することになる。 東京電力福島第一原発とは異なる加圧水型炉である、高浜原発3号機、同4号機は1985年から運転していたが、2011年3月の東日本大震災発生後、3号機は12年2月、4号機は11年7月から定期検査のため運転を停止していた。 関西電力の高浜3号機は2016年1月末に再稼働し、2月26日には原子力規制委員会による検査をすべて終え、終了証が交付された。同日午後4時23分から営業運転を始めていた。 4号機の緊急停止の直後には圧力計など計器類に故障が発生したと発表されていたが、関西電力は3月3日に送電用の主変圧器の保護機器が原因との見方を示した。 原発関係の事故がおこると集中制御室のパネルに異常が表示され、そこには計器類の状態が表示されているので、直ぐに計測器の不具合と報道される。高浜原発4号機の緊急停止は送電用の主変圧器の保護機器から発せられた。 県知事や地元の元町長などが稼働を後押しする動きをするのは原発関連の事業従事者が多いためである。知事の再稼働の条件の1つに「地域経済と地元雇用への対応」をあげている。福井県がつくる観光地図から原子力発電所が削られているから問題の複雑さが知れる。 福井県知事は福井県内の原子力発電の再稼働の条件として、「原発への国民理解の促進」「2030年度の電源構成比率の明確化」「使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地に向けた国の積極的関与」「事故制圧態勢の強化」「地域経済と地元雇用への対応」の4項目をあげている。原発関連で生きている人の暮らしが一番の本音であり、使用済み核燃料の県外処理の項目は心の底が言葉がでてしまった。 |
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