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日本計量新報 2016年8月7日 (3114号)

ハカリの定期検査の実施と指定定期検査機関の3つの事例

取引と証明に関係して適正な計量の実施を確保するために計量法はハカリの定期検査を使用者に課している。ハカリの定期検査を実施する主体は都道府県と特定市である。計量法は都道府県と特定市にその権限である定期検査を指定する者におこなわせる制度としての指定定期検査機関制度を設けていて、現在多くの都道府県と特定市がこの指定方式によってハカリの定期検査を実施している。

また指定定期検査機関制度を利用しない方式として計量士の組織である地域の計量士会に代検査を依頼することも広くおこなわれている。このほか計量士が会社組織をつくって個別の計量器使用者に働きかけて、あるいは要望を受けて、公的機関がおこなう定期検査とは別に代検査を実施している事例も少なくない。代検査は計量器の使用者の都合に合わせた日取りで検査を実施できること、関連しての清掃作業や知識供与などがあり、こうした利便を買うことになる。

指定定期検査の運用にからむ難題が取りざたされているが、そのことは抜きにして指定定期検査機関のようすを垣間見るということで横須賀市、群馬県、横浜市の事例を引く。

次は特定市の1つである横須賀市が説明する計量法が規定する指定定期検査機関の説明だ。

指定定期検査機関制度とは、都道府県知事または特定市町村の長の権限である定期検査を、その指定する者に行わせる制度です(計量法第28条)。 都道府県知事または特定市町村の長は指定定期検査機関に検査業務を行わせた場合は、その業務を行わないことになります(計量法第20条)。

その検査事業である「特定計量器定期検査」を次のように説明する。

商店、病院や学校などで取引または証明に使用するはかり(特定計量器)は、計量法に基づき、定期検査を2年に一度受けなければなりません。 毎年11月頃から翌年2月頃にかけて、市の指定定期検査機関である公益社団法人神奈川県計量協会が巡回検査を実施しています。

群馬県産業経済部計量検定所は指定定期検査機関制度を次のように説明する。

1、概要

新計量法の施行(平成5111日)により、民間活力の導入が図られ、指定要件を具備した場合、自治体から民間へ業務委託できる「指定定期検査機関制度」が創設されたことから、定期検査のより一層の効率化、受験者へのサービス向上を図るため、平成154月から一般社団法人群馬県計量協会を指定定期検査機関として指定し実施しています。

・対象計量器は計量法施行令第10条に規定する非自動はかり、分銅及びおもり

・検査方法は現在県で実施している集合検査方式

・対象地区は当面特定市を除く県内市町村(ただし、計量士による代検査部分を除く。)

2、指定定期検査機関制度について

従来、定期検査は都道府県知事又は特定市町村の長が行うこととされ、これに計量士が行う代検査制度を取り入れて、適正な計量の実施の確保が図られてきました。平成511月施行の計量法では民間活力の導入を図るため、知事や特定市町村の長の指定により、一定の公益法人に定期検査を行わせることができる「指定定期検査機関制度」が取り入れられ、より円滑な定期検査の実施が可能となりました。そして、平成1341日から施行された計量法では、公益法人に限らず民間企業の参入を可能とし、また、事業の休廃止が知事の認可から知事への届出に変更されました。

【注記・特定市町村とは】計量法により、都道府県知事が行う計量器の検査業務等の一部について行う市町村のことを言います。政令(計量法施行令)では地方自治法に基づく特例市(群馬県では前橋市、高崎市、伊勢崎市〔平成19年から〕、太田市〔平成19年から〕の4市)や政令指定都市、中核市のほか、23の特定市町村(平成196月現在)が指定されています。

3、検査の実施

 平成15318日に指定され、平成154月より実施されています。

4、指定定期検査機関制度導入後の検査方法等

1)検査方法

 県が実施していた検査方法を踏襲しています。

2)県が行う業務

告示、事前調査の受理、計量士による代検査届の受理及び未受検者に対する行政指導を行ってます。

3)指定定期検査機関が行う業務

定期検査に係る事前準備、集合検査、未受検者の確認指導、追加検査及び台帳整理等を行っています。

 次は横浜市計量検査所における指定定期検査機関制度の説明と運用の概要だ。

横浜市では、適正な定期検査の安全かつ効率的な実施を図るため、平成15年度から計量法に基づく指定定期検査機関制度を導入しています。

○指定定期検査機関の指定に関する主な計量法関連規定

(指定定期検査機関)

 第二十条  都道府県知事又は特定市町村の長は、その指定する者(以下「指定定期検査機関」という。)に、定期検査を行わせることができる。

(指定)

 第二十六条  第二十条第一項の指定は、経済産業省令で定めるところにより、検査業務を行おうとする者の申請により行う。

(指定の更新)

 第二十八条の二  二十条第一項の指定は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。(政令で定める期間は3年)

○横浜市指定定期検査機関の沿革

指定の期間、指定定期検査機関名の順

▽平成1541日〜平成18331日、財団法人横浜市消費者協会

▽平成1841日〜平成21331日、財団法人横浜市消費者協会

▽平成2141日〜平成24331日、財団法人横浜市消費者協会

▽平成2441日〜平成27331日、財団法人横浜市消費者協会

▽平成2741日〜平成30331日、公益財団法人横浜市消費者協会

○横浜市指定定期検査機関の公募

 横浜市では、平成27年度からの横浜市指定定期検査機関について公募を行います。詳細は、「横浜市指定定期検査機関の公募」をご覧ください。(公募は終了しました。)

○横浜市指定定期検査機関の決定

 平成27年度からの横浜市指定定期検査機関について公募を行い、横浜市指定定期検査機関選定委員会における選定の結果を受けて、公益財団法人横浜市消費者協会を横浜市指定定期検査機関として指定することが決定しました。

 横浜市計量検査所は代検査を次のように説明する。

○代検査

 横浜市が実施する定期検査に代わり、国家資格である計量士が実施する検査を代検査と言います。横浜市が実施する定期検査は、指定定期検査機関が巡回して実施(土・日祝祭日を除く)しており、原則として日時の指定はできません。日時の指定を希望する場合には、代検査を御検討ください。

 

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