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日本計量新報 2016年8月14日 (3115号) |
3割自治の実態の地方公共団体と計量行政の在り方東京都知事選挙があって小池百合子氏が当選した。小池百合子氏は環境大臣、防衛大臣の経歴があり、元知事の石原慎太郎氏は環境庁長官、運輸大臣をしていた。石原慎太郎氏は「大年増の厚化粧」と発言した。子息の石原伸晃氏は自民党都連会長で経済再生担当大臣だ。環境大臣をしていたこともある。環境大臣(内閣府特命原子力防災担当大臣)のときに放射線汚染物質の処理場をめぐって「最後は<RUBY CHAR="金目","かねめ">でしょう」と話したことで2014年7月13日投開票の滋賀県知事選挙は優劣が覆って、嘉田由紀子氏の後継候補である元民主党衆議院議員三日月大造氏が当選した。 小池百合子氏はすでに崖から飛び降りたと覚悟を示しているのに「大年増の厚化粧」と言っては女性票は逃げていく。この親子から吐き出される言葉は物議を醸す。石原慎太郎氏は「君がやればいいではないか」と松沢成文氏に声を掛けたのに対して神奈川県知事3選を取りやめて都知事選への立候補を表明した。しばらくして石原慎太郎氏は4選に出馬し当選した。東京都知事の職は大臣かそれ以上の魅力があるようだ。あるいは大臣の職に就けなくなった人の代選の政治の地位になるのだろう。 選挙戦では政策を争うということで聞こえの良い言葉を使っていて自公推薦の候補者は「安全・安心」と言った。都市防災のことであるようだが都政関係者の誰かが使い古された意味不明の言葉を用意してきた。超高層で超過密な都市構造そのものが、安全とは逆の状態を形成しているのではないか。国には800兆円、地方公共団体は200兆円、国と地方併せて1000兆円を超える借金を抱えているなかでの3割自治あるいは4割自治ということで、お金もその使い道も限定されている地方公共団体の姿がある。できることが限定されているのに何でもできるような演説がぶたれ、そのまま報道される。東京都知事選挙における偽りの政策に<RUBY CHAR="儚","はかな">い夢を見せられて投票率が大きく上がった。 計量法に基づく計量行政はかつて機関委任事務であった。計量行政は2000年4月に施行された地方分権一括法によって大部分は機関委任事務から自治事務に移された。計量行政の内容は本来ならば法定受託事務とすべきであったものが自治事務になったことによって、法律に書かれている地方公共団体が厳格に実施すべき事務に怠慢であるようすが見られるようになっている。法定受託事務だろうが自治事務であろうが、適正な計量の実施の確保にとって大事な計量行政としての事務の遂行はなされなければならない。やるも随意、やらないも随意という内容の計量法とその実施としての計量行政ではない。計量法とその内容である計量行政の実務をよく理解し、その精神を汲み尽くした計量行政職員の一層の活躍に期待したい。
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