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日本計量新報 2016年8月28日(3112号) |
「尺相当目盛付」を遺した永六輔氏と人の命を考えるローマの地下酒場で歌われていたのは「上を向いて歩こう」つづいて「さくらさくら」。日本人観光客がいることを知って演奏された。酒場は「上を向いて歩こう」の大合唱。「行こう行こう火の山へ」の「フニクリ・フニクラ」がそれにつづく。1975年のローマの酒場の風景である。「上を向いて歩こう」を作詞したのは永六輔氏。 「シャバダバ シャバダバァ」とスキャットだけで進行するオープニングテーマ曲の「11PM(イレブンピーエム)」の司会者の大橋巨泉氏はバラエティテレビ番組の開拓者であった。同氏は石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』の作詞にもかかわっている。 永六輔氏は2016年7月7日、大橋巨泉氏は2016年7月12日に逝去した。二人は同じ学年で永六輔氏は満83歳、大橋巨泉氏は満82歳であった。永六輔氏は大工仕事と尺貫法との深い縁を説いたことが契機になって計量法で規制の例外として尺相当目盛付の長さ計の販売を認めた。時代を画した永六輔氏と大橋巨泉氏の二人である。この二人は偶然にも早稲田大学の中退者であった。 NHKの大河ドラマ『真田丸』では豊臣秀吉の晩年と徳川家康の天下取りが進行中である。時代の状況やほかのさまざまな事柄との兼ね合いによって物事が決まる。秀吉に早くに世継ぎができていたなら、あるいは家康よりも命を長らえることができたなら、ということなどが言えても命の尽きることの予測はつきにくい。 苦労や失敗や成功から教訓を引き出してそれを語って法則として遺した松下幸之助氏のことを後継者たちがどれほど足しにしたのかは知らない。ソニーにしても同じである。後継の立場にある者たちは先人の遺訓を糧にしない。遺訓を利用するにしても世の中の出来事は複雑に見えて当てはめる方法を選択することは難しい。 企業の発展と成長を牽引した経営者とその後継ということでは計量計測企業の世界では概して成功事例が多い。個々の事例では事業の分野の拡張や形態の転換がある。何をどのように選択していくかは企業の持っている力と市場との縁などで決まる。事業を継続していくために経営者と従業員は市場と顧客と未来を見て歩むことになる。
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