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日本計量新報 2016年9月11日 (3118号) |
NHK子ども科学電話相談に登場したメートルの定義のこと第98回全国高校野球選手権大会(2016年夏の甲子園)作新学院(栃木)が優勝した。北海(南北海道)を7対1で破り54年ぶり夏2度目の優勝であった。注目選手は作新の今井達也投手で決勝戦では152キロ(時速152キロメートル)を投じ、その投げっぷりの良さからプロ野球での活躍が期待される。 2016年夏は夜はリオ・オリンピック、昼には甲子園野球ということであったがリオの熱闘のために高校野球は影が薄かった。プロ野球に比べれば高校球児のプレーは頑張りはよいとしても未熟であるが、プロ野球界でその後に花開く選手を探すことを楽しみにテレビ観戦する。 ◇ 夏には「NHK夏休み子ども科学電話相談」のラジオ番組が平日の午前中に半月ほどあってとんち教室のような雰囲気を楽しむことができる。昆虫、植物、水中の生物、海の生物、鳥、動物、恐竜、科学、天文・宇宙、心と体が2016年の題目設定であった。恐竜の知識を溜め込むことが子供たちのゲームであり楽しみであるようで、電話相談といいながら知識を披瀝して自慢するといったこまっしゃくれたのが登場すると相談員は驚いた振りをしていなす。天文・宇宙も同じようなことである。 聞きづらいのは司会のアナウンサーが、子供に「わかった」「わかった」と何度も聞くことである。「わかる」ということを理解できない浅薄な言葉だと思うのだがNHKのアナウンサーはこのようなことだ。 かつては何人かの名物回答者がいて大人を楽しませていた。今の回答者では甲南大学理工学部教授で植物が専門の<RUBY CHAR="田中修","たなかおさむ">氏がそうである。ときどき助詞を抜いた京言葉を使って話す。田中修氏は説明したあとで「わかった」とは言わない。「いいですか」と聞く。これはいい。わかることには段階があって、その段階を相互に了解してよしとするのである。理解とはそのようなものだろう。 理解ということでは回答者が長さの定義のことに触れていた。地球の子午線から割り出した1メートルのこと、クリプトンランプの波長を基準にしていたこと、そして光の速さによって定義されるのようになったことを説明していた。ただし、なぜそのようになっていて、そのようにすることの意味と意義は説明されなかった。長さの定義を光の速さによって決めていれば、1メートルの現示の新しい器具が開発されても定義の変更を必要としなくてすむ。またクリプトンランプで定義するとクリプトンランプの波長が1メートルの精密さを規定してしまうという制約があった。
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