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日本計量新報 2007年7月29日 (2685号)

計量行政は国民の暮らしの安心と安全を守る保障の行政

地方公共団体のうち県の計量行政として次の4項目を掲げているところがあり、その内容は次の通りである。(1)正確な特定計量器の供給として、計量関係事業の登録及び届出、特定計量器の検定、タクシーメーターの装置検査、基準器の検査、(2)取引・証明における計量の安全確保として、特定計量器の定期検査、計量証明事業用計量器の検査、特定計量器及び商品量目の立入検査、(3)計量思想の普及啓発、(4)計量管理の推進、指導。
 日本の計量行政機関は地方公共団体の実務担当部署として都道府県の計量検定所など、そして特定市の計量検査所など、またハカリの定期検査などに協力する市町村の行政担当によって構成されており、国と中央関係の役所として経済産業省の担当部門と産業技術研究所の計量関係部門などがあって、地方と中央の計量行政機関によって計量行政が運営されている。国の計量行政と産業技術研究所の関係行政を加えて日本国全体の計量行政が行われているもので、その内容は基本的に取引と証明に関して適正な計量を実現することである。この中には計量単位を定めることも含まれており、その内容は国際単位系(SI)をふまえている。
 計量行政が直接的に関わる計量器の検定や検査、ハカリの定期検査などは取引証明に関わるものである。商品量目検査とは計られた商品の質量が取引に関係して定められた内容を満たしているかどうかを商品を試買するなどして確かめる検査である。事業所に立ち入りして計量が適正に実施されているかどうかの検査も取引と証明に関係することに限定されている。計量法の定めによって適正計量管理事業所の指定を受けた事業所が所定の管理を実行することによってハカリの定期検査を「免除」される仕組みがあり、この所定の管理を「計量管理」と述べていて、このような計量器の自主管理を推進することが奨励されている。こうしたことの全体を「計量管理の推進」といい、行政機関がハカリを使用する事業所に働きかけることは、適正計量管理事業所の指定を促進している。
 計量行政が多岐に及んでいるように見えても実施の内容は上記4項目であり、これを簡潔に分類するとハカリの定期検査(計量証明事業用計量器の検査を含む)、タクシーメーターの装置検査、ガソリン計量器の検定、ハカリなど一部特定計量器の検定である。
 ハカリの定期検査(計量証明事業用計量器の検査を含む)を実施するには、対象となるハカリがどこに設置されているか完全に把握されていることが求められる。計量法の規定では定期検査を受検する義務がハカリの使用者にあるから、使用者自らが定期検査を受けなければならないということになっているものの、実際には計量行政機関からの知らせによってハカリの定期検査を知り、その実施時期を知るということになっている。したがって定期検査対象となるハカリの所在を記録する基本台帳の整備が重要であり、この基本台帳が不備であると定期検査を受検すべきハカリがそれを受けないままで使用されることになる。そうすると基本台帳の整備が定期検査の実施率を決めることになり、定期検査対象ハカリを基本台帳に書き込んで把握できた割合がほとんどそのまま定期検査の実施率になってしまう。基本台帳に記載された定期検査対象ハカリの100%を検査しても、基本台帳に記載されていない対象ハカリが50%あるとすると、定期検査の実施率は50%になってしまう。
 計量行政は適正な計量取引を確保することを通じて国民の暮らしの安心と安全を守る保障として実施されている。地方公共団体の行政予算編成の最初に確保されなければならないのである。


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