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日本計量新報 2007年10月28日 (2697号)

計量器を買う人は作り手が知っている村の鍛冶屋であって欲しいと考える

日本の地名を見ていると新宿、原宿、青山、銀座など全国に同じ名前が沢山ある。新宿は宿場のことであり、原宿と青山などは土地のようすをあらわしており、銀座は貨幣としての金貨・銀貨などを造る造幣地域の名から起きたことであったものがその後繁華街の意味に転じた。原宿、青山、青根、向原などと名が付いてそれで小さな村を形成していた明治以前の日本においては、国の単位は藩であり現在の都道府県の規模よりも土地面積としてははるかに小さなものであった。だから新宿、原宿、青山の地域名称が全国に幾つあっても人々の生活に支障をきたすことがなかった。現代では人の行動範囲が大きく広がって物事を日本規模で考えるようになったので新宿、原宿、青山と地名をカーナビに入力すると間違いを起こしてしまう。
 日本の企業活動は世界規模で展開している。トヨタ自動車にしても海外生産が当たり前であり、海外市場で販売する量が日本市場で販売する量をはるかに超えている。計量計測関係企業での生産量の6割を海外市場で販売していることなど普通になっていて、日本市場だけを考えて企業行動をとる時代ではなくなっている。かつては海外の計量計測ビジネス情報を取得する方法として直接的に海外市場や企業を視察・調査することが主な内容であった。いまでもこの調査手法が重要であることには代わりはないものの、パソコン通信の世界規格となって定着・普及し、大爆発しているWWW(ワールド・ワイド・ウエブ)によって、企業情報その他を取得することができる。

 計量計測機器業はその製造あるいは販売する製品やサービスのすべてを利用者・購買者に知らせ、好感触を得て、実際に販売を実現することがビジネスの成功と発展につながる。カタログに掲載したすべての内容、顧客に知らせたいすべてのことを知らせる決定的に重要な方法としてインターネットがある。顧客に知らせるべきあらゆるビジネスの内容を文書などにしてホームページに掲載することから物事が始まるといってよい。思いや願いを製品やサービスという商品にして提供するのがビジネスである。思いや願いのないところにはビジネスは生まれないし発展もしない。思いを形にしたのが製品でありサービスであるが、そうした商品を目に見える形にして顧客に働きかけるのが販売活動である。
 100戸ほどの小さな村落で形成されていた経済世界がその後大きく広がって今では世界規模のワールド・ワイドな経済となっている。しかし商品を買い求める側の人は、100戸ほどの村の鍛冶屋や仕立屋と同じように生産者がよく見えていることを強く求めてもいる。見ず知らずの訳のわからない人が造った商品を買うということをしたがらないのである。
 商品に対するこのにような人々の感触(心持ち)の内容を満たすために企業はブランドの力を付けようとする。ブランドの力があれば説明をしなくても商品を販売することができるからだ。たとえ規模が小さく名前のよく知られていない企業や製品であっても、その製品の内容や企業の気持ちや願い、企業の内容をよく知らせることができれば、それはブランドと同じ働きをすることになる。
 カタログを作ってそれを会ったことのない人々に届けることはほとんどの企業にとってはできないことである。インターネットの世界が人々の知識を満たし、細密な情報流通のための絶対的な機能を持つようになっている今日では、インターネットの力を使ってビジネスを展開することが企業活動の大きな補助エンジンになっていることは間違いがない。人の思いや願いは企業活動につながってビジネスが形成される。インターネット情報社会のビジネスは、自分と企業をインターネットの世界に対面させるホームページに、自分と企業の思いと願いのすべてを映し出すことである。商品を買う人々はどのような企業にも「村の鍛冶屋」に対するのと同じ気持ちで仕事を依頼し、サービスを含む商品を買うのである。


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