気象予報がよく当たるようになった。雨、風、嵐、雪、海のようす、その他の気象現象は計測値というかたちで把握される。蓄積された計測値をコンピュータに入力して解析することで、気象を予測することができる。 気象の観測点を増やすことは予測の確度をあげることにつながる。気象を構成する要素の温度、湿度、圧力(気圧)、積雪量(長さ)などの計測値は通信によって把握されるようになっていて、全体としては気象ロボットの形式をとるようになった。 部屋の温度と湿度を、時間の経過とともに把握する自記ドラム式の温度計および温湿度計は、隠れたロングセラー計測器である。紙に印刷された温湿度の記録は視覚的に傾向を把握することが主目的で、絶対に間違いが許されないという分野でなければ、この自記ドラム式の記録計は今後とも便利な計測器である。自記ドラム式には記録のためのペンのインク切れ、紙切れ、電池切れなどによって、計測と記録が途絶えることがあるものの、これは使用者の責任である。自記ドラム式の温度・湿度記録計の分野にも代替え器としてサーミスタ温度計と記録計をつないで使用する(これが一体ワンセットになっている場合も含めて)方式のものが普及している。ドラム式の温度・湿度記録計にしてもデータロガーほかの名称の電子式のものにしても、電池切れなどは免れないから絶対に大丈夫な気象計測器ということではないが、その全体は小さな気象計測ロボットである。 計測機器は人がいちいち手取り足取りで計測する方向から、測定者が直接に計測にたずさわらないで自動計測する方向に向かっている。マン・マシンシステムとしての計測には、ここにかかわる人の能力が計測の精密さを決めてしまうことになっていたからである。 人がかかわる要素をあらかじめ織り込んだ計測システムは計測ロボットにつながる。ヤジロベーの竿の右と左をつり合わせて質量を測定する天びんは電子式のものに代わっていて、ここではつり合わせほか、精密さ確保のための自己点検も自動的に処理されるようになっている。 質量を測定するときに測定環境の温度、湿度、気圧、風量、振動その他を同時に測定記録する必要があることから、質量測定器と連結する気象測定装置があってよいことになる。これらは現在は分離されていて、質量の測定数値に測定環境や条件として別途測定され、付記されることが多い。 現代の社会では物流、人の移動を含めて自動車の機能は欠かせない。現代の自動車は動力系、駆動系のほか、安全運行の面でも車間距離の自動制限、ナビゲーションシステムなどにおいては計測センサーを含めて計測機器が大きな働きをしている。この全体は運行ロボットといってよく、それを構成する要素の重要な内容は計測センサーと計測システムである。いまよく耳に入る「ソリューション」という言葉は問題解決とか課題解決ということで、このシステムのソフトウエアとハードウエアの製造・販売がビジネスとなっている。 上手に計って得をしたり便利になったり、大きな利益を生む計測機器や計測システムを開発して社会に提供し、ユーザーや企業に喜びをもたらすのが計測企業の役割であり、これによって社会に受け入れられるのである。