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日本計量新報 2008年4月20日 (2720号)

メタボ予防の特定健康診査が計測器の需要をもたらす

大きな載せ台を持っていて、何トン何十トンという質量を測定する大きなはかりに求められている機能は、質量を計ることである。計った結果は質量値として表示され、そのデータを得ることになる。質量値を求めるということが目的であるならば、ハカリは目的を達成するための手段である。
 計る対象の性質が均一であれば体積から質量を求めることができるから、レーザーなどによって体積を求めて質量を求めることも行われる。
 人の体積を求めて、標準体積と比率で軽いか重いかを区別して脂肪量をはかることも行われている。人間の身体の導電率は体内にある脂肪量によって違ってくるので、体重と導電率等の測定値を総合解析して体脂肪その他の身体の成分を指標として表す計量器は広く普及している。温度によって電気抵抗が変化するのを利用して温度を計測・表示するデジタル式の軽便な温度計は、家庭に、あるいは事務所などに普及している。センサー部分を室外において室内外温度を同時に表示する温度計は便利な計量器である。
 部屋の幅などを計るのにコンベックスルールや長い巻き尺(リール)が使われていたのに、レーザー方式の測長器が一部これにとってかわっている。レーザー測長器を部屋の中程に設置すればよいということや、遠くの先まで正確に計ることができるということで、そのような計測需要に対応して長さ測定分野の計測器の代替えがある。
 計測器は計るための手段であり、計る目的はそのものの性質などを知ることである。体重を計ることはその人の大きさを知ることである一方で、健康の指標としての体重を知ることでもある。健康を計ることは健康の度合いを知って適切に対応するために行われる。
 国は、国民の健康状態を向上させることが大事だと考えているのではなく、健康保険の出費を抑制するために国民の健康増進を図るという動機のもとに、今年4月から、メタボリックシンドローム予防を目的とした特定健康診査・特定保健指導を開始した。この健康診査では、腹囲をはじめとして、さまざまな測定項目が設定されている。
 医療分野における検査は、実際にはすべてが測定である。測定とは、ある指標との比較であることが基本である。測定とは知ることであり、指標との比較によってその状態がわかる。血圧、血糖値その他も指標や標準と比較することによって正常値、異常値という判定がなされる。
 特定健康診査がいよいよ実施体制に入ったことで、計測器業界にも新たに急激な需要が発生し、今後ある程度の規模を持つ市場が形成されていくことになることであろう。


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