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日本計量新報 2009年2月15日 (2761号)

電気自動車の開発、医療・福祉など新産業を支援する計量計測産業

世の中はさまざまであり、それほど良い品質でないものを高い値段で売っている商店がある。その商店は昔とちがって大きな店舗にさまざまな業者を入れてさまざまな商品を売っている。業者から出店料を得ての商売であるから不動産業の様子がある。札幌の丸井今井という老舗デパートが会社更生法を申請したのはこのことと無縁ではなく、札幌地域の消費動向とも大きくかかわっている。
 丸井今井がある札幌駅前の角地などにはコンビニエンスストアが幾つも新設されている。コンビニは弁当をはじめ身の回り品や日常生活に必要な物が、価格は高いけれども手軽で便利に手に入れることができる。コンビニのカップ麺は安売り店より5割ほど高いけれども100円と160円の差は急ぎのときには気にならない。デパートの地下食品売り場は高品質の食料品をお手ごろ価格で売っているから人気であり、閉店間際の半値販売を楽しみにしている人々は多い。高品質、便利、お手ごろ価格が商品販売の基本であるようだ。「ユニクロ」の元気さはすごい。コンビニエンスストアとスーパーマーケットとデパートの良さを取り混ぜているからだろうか。
 デパートは百貨店であるから何でも揃えていることになっているがそうでもないところの問題点が見えている。それでも購買者は百貨店に足を運んでいる。百貨店に足を運んで欲しい衣服などの商品を品定めして、インターネット通販の店舗で同じ商品を安い値段で購入する人が少なくないのだというから、大阪心斎橋の老舗デパートが隣のデパートにそっくり身売りするということがおきるのも不思議ではない。そのお店を買い取った店がこの後上手くいくのかは定かではない。ターミナル駅に隣接した百貨店は業績好調ということだから、便利さが寄与しているといってよい。
 計量計測機器のすべてを陳列して販売するお店は、実際にはない。計量計測機器のメーカーは、製造し販売している商品のすべてを自社運営のホームページに掲載している。これら計量計測機器メーカーの商品をすべて寄せ集めて一堂に展示・紹介することで、計量計測機器の百貨店ができあがる。実店舗としてこれを運営することは実際にはできない。商品の数が軽く100万点ほどになるからである。インターネットの世界を利用してならばこれができる。計量計測機器メーカーのすべてを並べることが第1段階であり、器種ごとに並べることが第2段階でる。その先の第3段階、第4段階、第5段階、第6段階となり工夫次第でさまざまな様態を出現させることができる。これに似たことをしているのが検索エンジンと検索サイトである。これは不完全でありゴミと宝が入り交じっている。
 日本と世界の経済が混迷していて経済規模が縮む。自動車産業が日本経済を牽引してきるようにみえてもGDPの60%はサービス産業が占めるようになっているのが日本経済である。中国人観光客と日本人のファション系ビジネスのツアー客がバスで隣り合わせているのを見ると、日本のファッション系は奇異な姿をしている。日本の社会と経済は新次元に足を踏み入れていることを見せつける場面である。日本の経済は09年は1%は縮む。自動車が10%以上縮み、家電販売が同じように縮む。自動車はハイブリッドエンジンに移行し、電気モーターに移行し、あるいは水素エンジンの燃料電池車に移行する。電気モーターを駆動力にすると車体は耐熱性能が緩和されるから紙が使われるかもしれないし、実際には樹脂が使われる割合が増える。トウモロコシを使って樹脂と同じ機能を実現している事例がある。
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 計量計測機器と品質管理、あるいは品質工学などのテクノロジーは、自動車産業や家電産業とも深く結びついている。スーパーマーケットの冷凍食品売り場のショーケースに「品質管理」のラベルが付いた温度記録簿が設置されているように、小売り・流通分野ともかかわり、人の活動のすべての分野に結びついている。医療、福祉、介護その他の分野の新しい需要に対しても計量計測機器メーカーが直接間接にかかわることになる。スーパーマーケット向けにハカリを売るだけではなく、水の販売機を設置するなどニーズを見つけ価値を創り出す企業精神は、どのような困難にも負けないたくましさがある。困難を課題と捉え、これに全知全能を傾けて乗りこえて新しい峰を目指すのが企業のバイタリティーである。


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