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日本計量新報 2012年4月1日 (2911号)

国家の栄枯盛衰と企業の勃興・発展

 日本の経済規模はこの10年横ばい状態にある。
 名目GDPを実質GDPで割ったものをGDPデフレーターと呼ぶ。名目GDPはインフレの調整をしていないないGDPであり、実質GDPはインフレの調整をしたGDPである。日本は1995年から名目GDPの成長率が停滞している。2011年まで毎年1%前後のデフレがつづいているため実質成長率が1%あっても、さしひきで名目GDP成長率はゼロとなるという現象が生じる。GDPデフレーターがプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションと考えてよい。
 国の盛衰は歴史が物語っていて、古くは4大文明の発祥とその後のこと、古代ギリシア、古代ローマ、近くはオランダ、ポルトガル、スペイン、大英帝国などが栄華をきわめた。現代の国際社会における経済の規模の大きさい国や地域を順あげると、2010年では欧州連合、アメリカ合衆国、中国、日本の順になっていて、IMF統計では日本は世界のGDPの約8・7%を占める。第2次世界大戦直後のアメリカ合衆国の富の生産は世界の半分を超えるほどであった。米国はその後相対的に地位を下げ、日本は中国に追い抜かれ、ブラジルやインドの追い上げを受けている。
 大英帝国の繁栄は武力による野蛮な植民地支配と莫大な富を生む交易によってもららされた。モノをつくらなくてよいこの方式は少ない人口によっても国家として大きな富を得ることができる。その後イギリスは産業革命によりモノをつくることによる富の獲得に移行して繁栄したが、やがては米国やドイツやフランスや日本や中国に追い越される。
 現代の産業を牽引するのはパソコンのソフトウエアなのかインターネット関連の検索サイトであるのか、自動車や電機や製造業全般であるのか、それに流通やサービス要素の強い産業が混ざり合って混合状態になっているのか、必ずしも明瞭ではない。
 アップルが、携帯音楽プレーヤーのiPodシリーズ、スマートフォンのiPhone、タブレット型情報端末のiPadなど好業績を背景に盛り返して、2011年8月10日、ニューヨーク株式市場で、初めて時価総額世界一になった。
 
 計量計測機器産業は日本の経済と歩調をあわせるように、国内での名目生産は減産傾向にある。欧州、米国などへ販売や現地生産をするなどして、国内生産に勘定されない分野があるので、計量計測機器産業の国内生産が減じているなか、単一企業としては売上げや業績を向上させている優良企業がいくつもある。計量器産業を歴史の時間軸で振り返ると、昔の一番大きかった企業がそのまま残っていない分野も少なくない。ユーザーの欲求に対応する製品開発を推進するだけではなく、時代が求める新しい需要分野を開拓することによって企業は発展してきているようである。
 栄枯盛衰は世の常とはいうものの企業が発展するためには小さな成功に固執せず、いくつも成功を勝ち取っていくことが求められる。経営者の自己革新は企業の革新と発展につながるようであり、企業が発展するときには企業の従事者の目が輝いているのが普通である。

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