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日本計量新報 2012年9月2日 (2931号)

あいさつは短いことをもってよしとすべし

そのようになりそうであったがやはりそうなったか。使ってはならない皆が知りすぎている手垢がついたような言葉をならべて長い話をする人がまた1人できあがってしまったのである。会合の場お客さまや座長に話をさせるのは儀式であり、その場の主役は一般の人々なのであるが、長い話をする人は主客を逆にとらえてしまっていることが多い。
 今どきの世の中では物事を知らない人はいないのに、さも自分だけが知っていると勘違いしている人がいて、辟易するほど陳腐で長い話をする人がいる。これだから会合にしても懇親会にしても楽しさが減じてしまうのに、その両方にそういう人を登場させて同じような長い話をさせるのには善意でその場にいても嫌気は絶頂に達する。
 
 計量の技術機関の長に就任した人がお客さまとして呼ばれたところでしたあいさつは緊張のあまりか流暢ではなかった。その場にいた聞き手の多くは唖然とし、そのなかの1人は「こりゃ駄目だ」と声をだした。しかし、その後博士号を取得したこの人は数学を専門とする科学者であり、数学分野で培った教養と数学的発想をまじえた話をするようになり、そうした分野の知識のうすい人々に2分間の楽しみを提供した。
 この科学者の話は、陳腐な概念や手垢がつきすぎた言葉の寄せ集めではない。普段その人が考えている、普通とは少し違う事柄をもとに世の中を解き明かすように話す良質の言葉は、人を飽きさせない。難解な専門用語を羅列するわけではないので、聞いている人たちにも話は通じる。

 ある会社では社長の朝礼のおりの長話しのために脳貧血をおこすことがあるという。長い話をするのではなく、そのことを文章にして読ませればよいことであるのに。挨拶は短いことをもってよしとすべし。

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