モノをつくるための工場と設備と人は沢山あって、モノを沢山つくることができるのが今の日本の社会である。 モノをつくるための工場、設備、人は日本の周囲にあるアジア諸国に数多くできていて、これまでの値段をくつがえす商品が日本ほか世界市場に供給されている。必要にして十分な機能を備えた家電製品が中国、韓国ほかの国々でつくられ、これと競争する日本の企業は苦戦している。この傾向はほかの製品(商品)世界でも普通になっているから、日本の企業の経営の仕方には難しさがある。 製造技術が世の中に行き渡り、ある程度のモノであればいくらでもつくることができるのが日本とアジア諸国、そして世界の様子であるから、物価が高く賃金も高いという状況が形成されている国にあっては、消費者の間でまだ知られていない財貨あるいは新しい性能をもった財貨の生産をしなければならない。独創的で独占的な技術によって、新概念の新規市場を創出することが肝要である。 新しい生産方法、新しい販路の開拓、原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得、新しい組織の実現といった言葉によって、現状を見つめ、そして革新していくことである。別の言葉を使うと、プロダクトイノベーション(製品革新)、すなわち新製品の開発によって差別化を実現し競争優位を達成するイノベーションの推進である。そしてプロセスイノベーション(工程革新・製法革新)、つまり製造方法や工程の改良によって費用を削減し競争優位を達成するイノベーションの推進である。 新概念の商品開発としてのプロダクトイノベーションは営業と販売の部隊が主力になって推進するものであるか もしれない。製造方法や工程の改良については生産業務に従事する技術者が主力になるとしても、その推進の必要とそれを実行する意欲は企業全体で醸しだすものと思える。製造現場や、商品販売の現場などでは、昨日したことを今日もおこない、10年前にしていたことを今日も同じようにしている、ということがよくある。刺激を受けない人は変わらないから、自らを励まして、人にも励まされるということが大事になる。
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