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日本計量新報 2013年6月23日 (2969号)

悪い奴による社団法人の私的利用とその後にできた公益法人制度

法の網の目をくぐることは当たり前で、法に直接に触れることを平気でするならず者がいる。このようなならず者の暗躍というよりも堂々とした悪徳行動に対応しようとしたのが新しく設けられた社団法人制度である。公益社団法人にしても一般社団法人にしてもその活動の内容が真っ当であるのに、監督官庁の神経質な担当者に規定に照らすと疑義があるということで揚げ足を取られるということがよくある。計量の世界の社団法人はその目的のために正々堂々と業務に励めるように応援する。とりわけ計量法の制度である指定定期検査機関制度によって指定を受けてハカリの定期検査を実施する地方計量協会などにおいては、運営を困難にするような費用などの指定条件を押しつけられないようにしなければならない。指定する側には継続と発展が期待される指定のしかたを研究して対処することが大事である。
 悪い奴による旧制度の社団法人の私的利用の関する公知の事実を次に例示することを通じて、計量協会など計量の世界の一般社団法人と公益社団法人の社会への貢献と公益性と透明性は十分であることを強調する。自信と誇りと名誉心をもって会員、役員、事務担当者は業務に励んでほしい。
 10年ほど前に一般新聞など多くのマスコミで明らかになった次のような事件があり、監督官庁の担当者が誤魔化されてしまうことへの対処として新しい公益法人ができあがったようであるが、新制度がよい制度であると思えないのは残念である。
 通産省(現在の経済産業省)が許可した公益法人がこの団体を支配する個人の利益のために利用されていた事実があった。ある人物が自分が経営する企業の利益のために工業技術を取り扱う社団法人を設立し、この法人の事業がそのままある人物の企業の仕事になり、利益につながるようなしくみをつくっていたのである。設立した団体の12名の役員のうち相当数を縁の深い人によって占め、監事はある人物が経営する企業と密接な関係にある人物であった。12名の役員のうち大学現役教員を4名、名誉教授を2名配置、ほかにも名の知れた人物を会長と役員にしていた。会員になっている企業が800社ほどあったので、表向きは公益法人としての体裁が整っていた。しかしこの団体は専務理事の職についていたある人物によって支配され、その人物が経営する企業にこの団体から資金が融通されていた疑いが濃いことを経理担当職員を2人も連続して解雇されていることが物語っている。
 この団体の不当性が世の中に明らかになったのは、同会職員で構成する労働組合が背任罪である人物を刑事告発したことによる。その人物は一般の企業家であり、公務員退職者(公務員OB)ではない。ある悪徳の意図をもった人物がその意図に基づいて構想し、設立し、運営する団体は、学者、有名人を理事会の構成者にして、1000名近い会員を集め、それによって集まるお金を個人のために利用するということがおこなわれていたのである。また、ある企業にとって利益になる事業を団体を抜け道にして得ていた。
 大学教授や有名人はお飾りに利用されるなどしてものの見事にごまかされていたのである。単純な論理にコロリとやられてしまうのが学者などであるようで、そうしたことを見越して人を手玉に取るのが悪い奴なのだ。

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