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日本計量新報 2014年7月27日 (3019号)

組織の盛衰は人の働き方とその能力によって決まる

大きな書店になにげなく足を踏み入れて平積みにしてある経済や経営に関係する図書をみて闘志がわく人は元気だ。棚に差し込まれた図書を含めてそうしたものが眩しく、そして近寄りがたいと思う人は元気がないのだろう。いつまでも光り輝いて読み返しに耐えるものは100冊に1冊もないから図書の集まりに玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の言葉を重ねてもよい。大きな書店には他分野の図書が集められているので、別の本も欲しいというときに便利だ。書店では立ち読みして買うべき本を探す楽しみもある。インターネットでの図書販売は、ネット通信に違和感のない人には便利であり利用が広がっている。インターネット書店は実際に本を手にとって内容を確認する書店とあわせて利用されるようになった。
 経済や経営のことが書かれた成功者の理屈と強烈な意志が盛り込まれている本に刺激されて、それを読んだ人が自分の仕事と自分の能力を見つめ直すことになれば、本を買った見返りはあったことになる。ところが人々の多くは学校で学んだか教わったことだけを金科玉条にすることが多いので、図書だけに学び、図書に書いてあることがすべてになって、現実を見ない傾向にある。
 日本がおかれている状態のいくつかの要件は次のようなことである。少子高齢化があり、人口は7000万人に向かって減り続け、就労者も同じように減り、この局面では高齢者の就労割合が増えていく。年金制度が本人が掛けたお金でまかなわれるのではなく次世代の人々との支え合いであるために、人口減少の過程では年金制度を維持していくためにしくみを変えなくてはならない。就労人口が減り、人口が減少し続けると、GDPの総額の半分ほどになる消費は減るので経済規模の拡大が困難である。サービスに関係する産業の経済に占める割合はひきつづき増大する。国内の経済規模の大きな拡張は見込めないが、アジアほかの諸国の発展はつづき、日本の製品などは海外での生産を含めて国際的な動きをとるようになり、途上国の経済規模の拡張に連動して生産数と生産金額を増やす条件がある。
 技術の革新は電子分野だけではなく科学の諸分野で進む。計測技術はそうした諸分野の技術革新と結びついて、新しい技術と製品を生み出すことは必至であり必須でもある。インターネットによる情報のネットワークと流通は製品をつくるうえで前提となり、物流の発展と革新がさらに進展する。ものを考えるのは人であり、製品をつくるのも人である。企業と人のあり方、そして企業・組織における人の働き方とその能力が大きな要素となり、その正否は人にかかっている。つまり組織の盛衰は人の働き方とその能力によって決まる。

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