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日本計量新報 2014年9月14日 (3025号)

計測用語の音声が簡単に文章に変換される夢

話せばわかる、ようになったのが音声と文章の関係の変換である。携帯電話のスマートホンにこの機能が付いており、コンシェルというお節介なのが、何かご用ですか、と聞いてくるので「電話がしたい」と語りかけると、電話機能がでてくる。話せば大体はわかる、そして文章にして、その言葉の機能を呼び出す。和語では宿(やど)、漢語になると旅館、英語ではホテルとなり、そのどれもが通じるのが日本語である。ホテルに行くとフロントとは別にコンシェルなどと書かれた台がおかれているので、どういう意味かと聞くことがたびたびであり、年寄りには意味がわからない。意味がわからない言葉を平気で使う現代の日本の人々は人にやさしくない。
 日本語にはアイウエオなどの拍(はく)は112あり、英語はこれが3万を超える。アイウエオを覚え込むと、人の言葉を文章にすることができ、拍の少ない日本でこの変換のためのワープロの実用機が誕生して既に20年ほどが経過している。その変換ソフトはスマートホンという携帯電話に組み込まれるようになり、録音機あるいはパソコンに話しかけた言葉がそのまま文章になって表記される。日本語は同音でも意味の違う言葉、つまり同音異義語がたくさんある。
 言葉ということでの日本語の特質は言葉の数が多いことである。言葉の一つ一つは単語とも言い国語学の分野では語彙(ごい)という。日本語に語彙が多いのは新しい言葉(語彙)をつくりやすいことによる。意味のある漢字を二文字三文字四文字と組み合わせると新しい言葉ができる。外国語をカタカナで表記することで新しい言葉ができる。宿が旅館になりホテルになる。日本語の単語の数を増やしているのが国の役所であり、同じく大学などで働く人々、そして小じゃれた職種の人である。サン・シャイン計画だの、テクノロジィー・ハイウエイ計画などとよく平気で言うものだ。若者になると身勝手な言葉をつくって自分たちにだけ通じる会話をしているのが日本である。日本語において同音異義語がたくさんあるのは拍数の少なさに由来する。
 言葉の数が多い日本語では日常の生活用語の領域では音声を文章に変換する機能は獲得しやすい。コンピュータの能力が高まれば識別する言葉の数は増えていくことになる。それでも計量計測分野の専門用語の識別をさせるためには、人が介在してやらなければならない。計量計測用語の新しい辞書づくりと音声変換のソフトウエアをつくることは、同時になされるのかもしれない。計測用語で語りかけても反応しないスマホ、パソコン、録音機であっては寂しいことである。

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