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日本計量新報 2014年9月28日 (3027号)

健康状態の計測と健康をつくるための行動

東京の代々木公園の蚊がもっているウイルスが原因で発症したことになっているデング熱の騒ぎは、冬に向かってこれを媒介するヒトスジシマカが活動停止すれば収束する。2014年の盆過ぎに日本人は風邪の症状がでるとデング熱を疑った。デング熱で死亡する症例は感冒やインフルエンザと大差がないのだが、死亡することがあると報道されると恐慌をきたした。
 エボラ出血熱は発症すると6割から9割が死ぬので世界中が恐怖に陥っている。新型インフルエンザと対応薬のタミフルの処方に際して、重量(質量)測定を誤ったことは記憶に新しい。タミフルを規定値以上に身体に入れると意識障害をおこすからだ。SARSこと重症急性呼吸器症候群はサーズ・コロナウイルスにより引き起こされる感染症である。新型肺炎(あるいは中国肺炎)とも呼ばれ、これが中国で猛威をふるったときには非接触式の温度計や一般の体温計が足りなくて日本の温度計メーカーは対応に追われた。中国ではこのときに8000人ほどの死者がでた。
 感染症のデング熱、エボラ出血熱が騒がれているが、恐れるべき未解決な感染症にはいくつかのインフルエンザほかがあり、それがいつどのような場面で発生するかというリスクが存在する。病気へのリスクということではデング熱とは比較にならないほど発症事例の多い病気としてガンや脳疾患がある。脳集結脳溢血やガンは、人の老化によって引き起こされる病気だから、定期検診による早期発見によって対応することになる。この分野では血圧や身長と体重の測定がおこなわれ、ほかにも血液の成分の検査、眼や内臓の検査などに計測装置が用いられている。
 人の身体の状態を知るための計測とあわせて、人が健康に活動するための状況つくりを支援することががビジネスとしておこなわれるようになっている。病気を治すことは医療であるが、病気にならないようにすることは同じように大事である。医療制度を費用の面で支えるのは元気に働く人々である。病気の治療に大きな費用を投じることは致し方ないとしても、病気にならないようにするために大きな心配りをすることこそが、医療制度を健全に運営するために大事である。早期診断と早期治療は重症の病気治療の10分の1ほどの費用ですむ。病気にならない身体と心をつくることによって医療費は100分の1ほどに減らすことができる。

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