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日本計量新報 2015年4月26日 (3054号)

人の世に役立つ思いが技術開発と改良をもたらす

川崎市で18歳の男たちが仲間の中学校1年生の男児を殺害した。殺害の主犯の男は「人が殺してえ」と日ごろからつぶやいており、この事件の前には通りすがりの人を鉄パイプで殴って数カ月鑑別所にいた。鑑別所から出てきたらすぐに殺人をした。18歳の男は定時制高校を直前にやめている。酒場に足を運び違法薬物を使っていたこともわかっており、このために、棒の先に巻いたガムテープに寺社の賽銭をくっつけて盗んでいた。一度の行動で一人あたりの分け前が4万円か5万円になっていた。川崎大師の賽銭が盗まれていた。
 2015年におきたこの殺人のほかに、大きく報道された20歳以下の殺人として19歳の名古屋大学理学部生によるキリスト教系の新宗教団体の老齢の女性殺人がある。2014年には佐世保市の女子高校生が同級生を殺して首を切るという事件があった。この2人はともに「人を殺してみたい」と事件以前に語っており、殺人事件の前にも事件を起こしている。20歳以下の人間によるこれらの殺人事件は「人を殺してみたい」という言葉を周囲に発していることが共通している。
 あれをしたい、これをしたい、という願望は良いことを思い描いて語ることが大事だ。人の道を外れた悪いことを思い描いて、それを口にすると悪い人間になり、事件をも起こす。かといってできもしない大それたことを思い描いたのでは、それを実現する人は世のなかにわずかであり、思い描いたほとんどの人が敗退者になる。「オリンピックで金メダルを取る」とオリンピック育成競技者に指定されている高校生、中学生が研修合宿で語る。この段階まできていればそれも良いことなのかも知れないが、この方面の精神の在り方は、あえてこのように述べよということになっている。発したその言葉によって夢の実現につながるのだという。普通の場合には高い望みはあってもその望みを実現するための段階を一つ一つあがっていくことが大事であり、一つあがったらもう一つ先をみる、ということであろう。
 大リーガーとして活躍するイチローは次のように言う。
 「ここまで来て思うのは、まず手の届く目標を立て、ひとつひとつクリアしていけば、最初は手が届かないと思っていた目標にもやがて手が届くようになるということですね」。
 「今自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない」。
 「夢や目標を達成するには、1つしか方法がない。小さなことを積み重ねること」。
 どうだろうか、これこそ行動の基本であるように思われる。
 はじめに忌まわしい事件を事例に引いたのであるが、人はまず思うことが大事であり、その思うこととは自分のためにも人のためにも社会のためにも役立つことを思うということだ。夢や目標の達成のために、まずは手の届く目標を立てて、自分にできることを積み重ねていく、ということをする。まずは思うこと、そしてできることを積み重ねること、これをする。投げやりになった人は良いことを思うことができない。そしてできることを積み重ねることができない。そのようになる。したがって、まず思うことが大事だ。そのようなことで計量計測技術の応用と開発や、新しい製品をつくりだそうとするその思いは非常に大事であり、この思いなしではどのような技術も製品も改良も発展も生まれてこない。

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