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日本計量新報 2015年7月5日 (3063号)

公務員における職員の処遇の格差に通じるハカリ指定定期検査機関

日本年金機構のコンピュータシステムに不正アクセスがあって、同機構が保有する年金給付などに関係する125万件の個人情報が盗み取られた。ウイルスメールをつかっての不正アクセスであっさりと盗み取られたのであるが、この種の窃盗は表沙汰にならないものが山ほどあると判断される。また内部の者による窃盗を通じての情報販売は裏の社会では普通のこととしてある。内部の者の悪意からの情報の保護、電子メールなどによって盗み取られることへの保護、そしてそうしたことによるコンピュータシステムの混乱を予防する対策を講じることが大事だ。
 社会保険庁から公的年金の運営を引き継いだ新しい組織が日本年金機構であり、2009(平成21)年12月31日に社会保険庁を廃止して日本年金機構ができあがったことになっている。日本年金機構には正規職員と准職員があわせて1万5424人おり、有期雇用契約職員1万454人(2013〔平成25〕年度末現在の職員数、同年金機構の発表)がいる。2015(平成27)年6月18日の国会審議では日本年金機構の非正規の職員との給与格差が2倍ほどになっていることと、給与格差職務の内容と無関係であり、非正規の職員のほうが実務能力に長けている事例が指摘された。
 国家公務員、地方公務員ともに非正規の職員数が増えている。地方公共団体では住民サービスのための窓口職員のほとんどが非正規の職員といってよいほどに、非正規を増やしていて、業務内容に差がない正規職員との給与格差が日本年金機構の給与事例と同じになっている。2014(平成26)年度時点の日本年金機構の職員給与は正規の職員が600万円弱であり、非正規のうち任期付職員は約450万円、再任用職員は約343万円であった。地方公共団体の職場でも同じような状態がおきている。世界で1番高かった日本人の給与が世界の平均かあるいは標準に向かって押し下げられている状況がここにある。
 計量行政に関係する事情はどうであるか。非正規の職員を使うのならまだよいとして職員を計量行政事務に配置しない事例が散見する。配置してもその員数では厳然と存在するハカリの定期検査、指定製造事業所の実情の把握、ほか関係する業務を実施することができない。指定すれば計量協会などにハカリの定期検査を実施させることができる指定定期検査機関制度を利用するのはよいとしても、計量協会などが運営費をまかなえないような費用をあてがってこれを実施させている。
 このさき指定定期検査機関制度を用いてハカリの定期検査を実施する計画はこの壊れた制度で無理矢理に動かすものといってよく、その結果は地方の計量協会などで働く人々をこき使うことに通じる。

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