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日本計量新報 2017年2月5日 (3136号)

誤計量の多くは人為ミスに由来している

和歌山県有田市初島町浜の東燃ゼネラル石油和歌山工場で火災事故が122日午後350分ごろに発生した。同工場では4日前の18日に、空の原油タンクの内部が焼ける火事があった。工場は有田市の沿岸部にあり敷地面積は248万平方メートル(甲子園球場約64個分)。24時間稼働でガソリンや灯油や化学製品の原料になるベンゼンを精製している。火災があったのは原油から潤滑油を精製するときにでるワックスを取り除く「第2プロパン脱蝋装置」が設置された施設。

2プロパン脱蝋装置がある施設付近には10人ほどの従業員がいたが怪我人はなかった。工場からは23回爆発音がして高く炎があがり黒煙が発生した。10台ほどの消防車がでて消火活動をし、出火から40時間あまり経過して24日午前830分ごろ鎮火した。爆発の可能性があるため近隣の1281世帯2986人に有田市から避難指示がでていた。

東燃ゼネラルは事故原因の調査をおこない周辺住民への説明会を開くほかインターネットで原因を公開することを約束している。消防と警察も事故原因の検証をする。和歌山県は工場へ立ち入り検査する。火災があったプラントについて、1969年の稼働後、4年に1度メンテナンスを行っていて、3年前に行ったメンテナンスでは劣化などの異常は見られなかった。118日に起きた別の原油貯蔵タンクで火災とは技術上の直接の関連はない。事故原因の究明が進められるが放火事件であることも考えられている。

事故や事件は異常な人によって引き起こされることが多い。相模原市緑区にある知的障害者施設「神奈川県立津久井やまゆり園」でおきた事件では19人が死亡し、重傷の20人を含む30名近い負傷者がでた。犯人は同施設で働いていた26歳(犯行当時)の元職員であった。この男は刺青をし整形手術をし、ヒットラーをあがめているうえ、違法薬物を使っていた。衆議院議長あてに殺害予告をしていて、それが契機で津久井やまゆり園の職場と住まいの近くの日赤病院で精神鑑定を受けて、病院からは問題ないということで退院をしていた。警察はそのような事実を当事者として把握していながら事件を防ぐことができなかった。

有田市の東燃ゼネラル石油和歌山工場での火災事故は東電福島第一発電所における原発事故を連想させる。福島第一原子力発電所事故は第一義として保安と安全管理上の設備の不適切さがもたらしたのであり、何も考えずにこれでよい「安全だから安全である」と決めてしまったことに原因があった施設設計の不備であり、それは人為ミスであった。

日本列島はどの場所でも巨大地震がおこる条件下にある。津波対策が仮に万全であっても地下が割れて施設が傾き破損することを否定できない。普通の人でも何かのはずみで異常な人になることがある。普通の人が普通なままで異常行動としてのテロルを働く。原発はテロルへの防備はなされていない。トルコではロシア大使が警護を装って紛れ込んだ警察官に射殺された。日本では10名を超える国会議員が米国の中央情報局(Central Intelligence Agency、略称CIA)に関係しているという。その数は10名以上となっているが30名かもしれない。CIAは外国での諜報活動を行うアメリカ合衆国の情報機関だ。

ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは1975年にレニングラード大学法学部を卒業してソ連国家保安委員会(KGB)に勤務していた。米国大統領選挙へのさまざまな介入があったとされ、米国トランプ大統領のスキャンダルにかかわる秘密を握っていてこれによって行動を統御している。

小泉純一郎元首相は首相就任直後に北朝鮮の支配者の長男の金正一が羽田空港に密入国したのをそのまま返してしまった。安倍晋三首相は一回目の首相就任時に北朝鮮のミサイルが日本上空を飛んで太平洋に届いたのをみており「美しい国日本」と主張していた。この首相たちが北朝鮮に拉致されている邦人を取り戻すのが政権の第一義課題であると言っているのだ。

国家間の争いは謀略に満ちている。物事を美しくみて、めでたく考えている日本の社会を象徴している結末が福島第一原子力発電所事故であり、津久井やまゆり園大量殺人事件である。設計上の不備ではなく人為による錯誤のうえの事故はテロルの一形態と考えてこの対策をすることが大事だ。計量管理のための全体設計でこのことを確認しておくとよい。誤計量の多くは人為ミスに由来しているからである。巷間さわがれているハカリの定期検査もれは、使用者がそのハカリに定期検査が求められていることを知らないために発生し、また定期検査対象ハカリの台帳に記載もれ・調査もれがあるために発生する。

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