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日本計量新報 2017年2月26日 (3139号)

半導体集積回路と結んだ電算機の性能向上は速い

日本列島改造ということで土木と建設事業が活発な時代があった。このころは日本の高度成長期でもあった。計量計測機器もこの時代には需要が拡大した。単純な形では鋼材あるいは樹脂テープをつかった短尺あるいは長尺の巻尺がよく売れた。この方面の経営者がこのころを振り返って一番よい時期であったと述べていたが、それももう40数年も前のことになった。

そうした巻尺製造の会社は新規事業をおこして発展の道を歩んでいる。新規事業に含まれる製品にはレーザー方式の測長器がありスマートフォン(スマホ)のようなというか測長器にスマホの機能が付いているすぐれものがある。この企業は泥仕合にも勝てる体質を模索していた。この企業は新規事業を模索して調査のために低姿勢で関係各方面に広く聞いて回った。それに対して評論家のごとくに意見をした者がいたが、ある人はその立場を逆にしておくのが至当ではないかと感想を述べ、時が過ぎるとその通りの結果になった。人は物を深く考えることはしてもそれを評論家のようにして処理してはならない。

長さ計の分類になる長尺あるいは短尺の巻尺の技術の発展は緩やかであった。狂いの少ない鋼や樹脂テープの製造とそれへの目盛りの印刷などの技術は各社各様に工夫がある。一度できあがったその技術は製品と連結すると10年の寿命を保持できた。そうした企業が元気であった時代には曲尺や精密尺などを造る小規模企業を含めた長さ計工業会が活動していたが今はなくなって、そのうちの有力企業は日本計量機器工業連合会に加入していたものがそのまま引き継がれている。

電子機器の進歩発展の速度は著しい。携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などにその様子をみる。デジタルカメラの登場と普及はスマホと似ていて、スマホはすでにカメラとして普通に使われている。デジタルカメラの普及そしてスマホがカメラとして機能するためにフィルムカメラを使う人は好事家に限られるようになった。

スマホとデジタルカメラの普及の様子はムーアの法則に重ねて理解することができる。米インテル社の創業者のひとりであるゴードン・ムーアが1965年に自らの論文で集積回路上のトランジスタ数は「18か月ごとに倍になる」としたが、今日では先進的な工業製品一般における性能向上の1つの目標値として用いられている。

レーザー測長器に用いられる半導体レーザーと関連の機器がムーアの法則として処理できる。デジタルカメラの撮像素子の動きはムーアの法則そのままである。コンピュータの性能という視点からは「トランジスタ数=ゲート数の増加により、より複雑なプロセッサが実装できる」「CMOSでは微細化=高速省電力化である」(「デナードスケーリング」)という複数の要素が関与して性能向上が進んだ。

半導体集積回路と結んだコンピュータの性能向上の速度は速い。うかうかすると置いていかれるが、スマートフォンもパソコンも使わず電子メールもしない優秀な経営者がいることを知れば、心配もほどほどにしておこうということになる。

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