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新春トップインタビュー

狙った獲物は外さない 〜会社も人生も基本は同じ〜

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く(2)

聞き手は高松宏之編集部長

日本計量新報 2009年1月1日 (2755号)第1部8面掲載

問題をきちんと分析して方針立てる

資源価格は数倍の値上がり

資源価格は数年間で数倍の値上がりをしています。2000年を基準とすると8年間で、銅は約5倍、石炭は8倍、鉄鉱石は5倍、原油は5倍になっています。原油など一部の資源の価格高騰は、現在は沈静化していますが、大局的には右上がりのベクトルが続くでしょう。

一方、輸出価格は横ばいで推移していますから、輸入物価が高騰することによって、日本の交易条件は大きく悪化していると、経済産業省は分析しています。これは貿易で経済が成り立っている日本にとっては重大な問題です。

日本の景気の状況は、各企業の景気の総和です。資源価格の高騰により原材料費がアップしています。つまり、企業のコストは大幅に上昇しています。

価格転嫁できず、企業収益は減少

ここで大事なことは価格転嫁です。われわれのような設備機器メーカーには、原材料価格がアップした場合に、原材料の購入コストを抑える力はありません。コストアップを受け入れざるを得ないという実態があります。

これに対して、製品の納入先に対して販売価格を値上げできるかというと、それはなかなかできません。コスト上昇分を販売価格に転嫁できないのです。

ということは、原材料費のアップが企業収益の減少につながっていきます。一般消費者を相手にしている、たとえば電力やガスといった業種の企業は比較的価格転嫁しやすいのですが、われわれのような設備機器メーカーでは非常に難しいですね。総てのしわ寄せがわれわれのような企業にきている。これが今の実態です。

国は適切なインフレ施策を

こういう状況に対して国の施策はどうあるべきかということです。それは原材料価格が上昇した分は、ゆるやかに、平等に、すべての流通段階で価格転嫁する状況、つまり適切なインフレですね、こういう状況にもっていければ、社会全体としては今までと変わらない状況にできるのです。国はこういう状況をつくりだす方策を考える必要があります。そうでないとサバイバル状態が激化して、経済状態はますます悪化していくことになります。

環境問題をチャンスと捉える

環境問題が重要です。環境問題を考慮した企業のあり方が求められています。資源の減少、地球温暖化、それへの対策としての二酸化炭素の削減、環境汚染への対策、人体の安全など、環境問題に関してはさまざまな対応が求められています。企業は、資源高騰や環境問題を嵐ではなく逆にチャンスとしてとらえ、生産プロセスの徹底的な効率化をはかるとともに、環境性能が優れた製品を開発・生産・販売していくことが重要です。

先ほど資源の減少の話をしましたが、これに関連しては、世界の経済のしくみに大きな変化が出てくるだろうと思います。

資源国への生産移転

資源生産性という言葉がありますが、資源国への生産の移転です。これが当然起きてきます。従来、人件費のコストなどで海外移転は進められてきましたが、資源生産性の観点からの海外移転が進められていきます。そうすると日本国内では、雇用問題が新たに起きてきます。これも嵐の一つでしょう。

間接的な政策だけではダメ

では、そういう状況のなかで国の政策的バックアップはどうなっているのか。政策には、直接的効果を狙うものと間接的効果を狙うものと、2種類あります。

現在の政策は、間接的効果を狙うものに偏っています。たとえば、税務上の特別措置、資金援助などです。私は、こういう間接的な政策だけでは、現在の状況は乗り切れないと思います。資金だけあっても、では何をするのかということがなければ意味がありません。バックグラウンドを強化するだけではダメなのです。

あんパンを例にとりましょう。あんパンには皮の部分とあんこの部分がありますね。いくら皮だけ強化しても、あんこが入っていないのではダメですね。このあんこが直接的政策効果です。

 

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