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新春トップインタビュー

狙った獲物は外さない 〜会社も人生も基本は同じ〜

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く(3)

聞き手は高松宏之編集部長

日本計量新報 2009年1月1日 (2755号)第1部8面掲載

問題解決のカギは技術力アップ

技術をバックアップせよ

−−これらの問題に企業はどういう対処をすべきでしょうか。

これまで、われわれに吹いている嵐について分析してきましたが、ではこれに効果的に対処するにはどうしたらよいかということです。それに資する政策は何であるのかということです。

それは、技術立国という原点に立ち戻り、技術をバックアップするということです。資源問題や環境問題に直接的に益する技術は何か、価値のある設備投資は何であるのか、ということをきちんと見極める必要があります。単に稼働率を高めるとか、生産性を高めるとかいう抽象的なもので終わらせてはいけません。

技術開発のテーマを絞ることが大事

どういう技術を高めていかなければいけないのかということをきちんと示す必要があります。具体的な技術に焦点を絞らなければなりません。

エネルギーを例にとりますと、省エネを考えた場合に、工場で稼働させる設備は省エネルギーのよいものになったが、では、それに供給される電力などのエネルギーは省エネが実現されているのかが大事ですね。資源が枯渇していくなかで、トータルに捉えた本当の省エネを実現させるために、ではどの分野で、どのような技術が必要なのか、どうやってそれを開発していくのか、などを見極めていく必要があります。

技術立国として再生するために、国として、計量業界として、技術のテーマを具体的にどこに絞るのかは、今後の方向性を決めるためにも極めて重要です。

答えは見えています。わが社の技術テーマは決まっています。先ほどお話したローマ・クラブ報告以来、資源の問題、環境問題は想定されていたわけですから。

経営はその日暮らしではいけません。常に次の代、次の代を見据えて、投資や方針を決めていかなければなりません。ロングラン、つまり長期的視野で経営を見たときに、自分たちの技術がいかに世の中のために必要な技術であり、有意義な技術であるかということに自信が持つことができれば、胸を張って競争に突入することができます。

ベンチャー精神に戻れ

私の考えは、経営は短期的視野ではいけないということです。メーカーはものづくりをしています。メーカーの経営者はお金勘定をしているだけではいけません。戦後すぐのベンチャーの精神に戻る必要があります。松下電器(現パナソニック)の松下幸之助さんであり、ホンダの本田宗一郎さんであり、ソニーの盛田昭夫さんに学ぶということです。

彼らは皆、自らが現場のなかでものづくりをやってきています。現在は、社長の仕事は経営管理イコール金勘定、のようになってしまっています。これではいけません。

私は、ものづくりをしている会社の社長は、松下幸之助さんのように、本田宗一郎さんのように、仕事をしている時間の半分以上はものづくりに専念する必要があると思います。これが、メーカーの社長としての本来の姿だと思っています。

 

社長が自ら機関車役になるということは、どれだけものづくりに専念する時間をとれるかということです。

生産性のアップがカギ

今、われわれが製造している設備機器というものはどうあるべきか、これらの100年に一度の嵐にどう対応したらよいのか、ということに対する私の回答は、生産性のアップです。

生産性のアップということを自分たちの業種、業界で考えることは、大きくいえば、そのまま国全体がとるべき道と重なります。国全体の処方箋でもあるのです。

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